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内視鏡癌治療

早期胃癌に対する内視鏡治療について(ESD)

胃癌はかつて長い間、日本人の癌死因の第1位でした。現在は肺癌にその地位を奪われておりますが胃癌の総数は決して少なくありません。胃癌とピロリ菌の関与が新聞でも取りざたされており、胃炎でのピロリ菌除菌がようやく保険適応となりました。今後除菌が進めば胃癌の発生そのものが減少するかもしれませんが、今現在でも多くの方が治療を受けておられます。

胃癌の治療は、多くの医療施設で貴重な経験の蓄積があり、本邦における治療についての標準化が推奨され、現在では日本胃癌学会による「胃癌治療ガイドライン」が広く用いられています。また、一般の方向けに「胃癌治療ガイドラインの解説」という本も日本胃癌学会から出版されています。

内視鏡治療の代表的な方法は、様々な形状の内視鏡用の高周波ナイフを用いて切開、剥離する方法「粘膜切開剥離法Endscopic submucosal dissection:ESD」です。ESDは日本で独自に開発された治療法で、それまでの治療では切除が困難であった広範囲の病変も、一括して切除が可能になりました。

内視鏡治療の最大の利点は、胃を失わなくてすむことです。治療に際して切除部分が一時的に人工的な潰瘍を形成しますが、通常は胃薬を内服して2ヶ月程で瘢痕化します。従って基本的に胃の機能を失うことはありませんし、食事の制限が生じることはありません。

もちろん、内視鏡でどのような病変でも切除できるわけではなく、対象となる胃癌は、病変が粘膜に留まっていてリンパ節等への転移がないものになります。特に大きさが2cm以下の場合は、内視鏡的治療が第一選択としてガイドラインでも推奨されています。胃癌は早期発見できれば、決して治らない癌ではありません。面倒がらず、怖がらず医療機関や検診を受けましょう。

当科では早期胃癌の内視鏡治療を20年程前から行っており、ESDについても2003年からESDも導入施行しております。特に、出血性胃・十二指腸潰瘍に対する緊急内視鏡止血術の経験が豊富ですので、そのための処置具も多彩にそろっており、内視鏡治療に伴う止血に関しても、速やかに止血術を行なえる利点を有しております。

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