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手術支援ロボット「ダビンチサージカルシステム」

手術支援ロボット「ダビンチサージカルシステム」

ダビンチ疾患別待ち時間一覧

手術までにお待ちいただく期間のおおよその目安を疾患別に提示しております。

4週間毎に情報更新しておりますが、あくまで目安ですので、実際の手術がこの通りに

実施されない場合があることを予めご了承ください。

2025年8月1日現在

手術支援ロボット
対象疾患
待ち時間 担当診療科 備考
前立腺がん 8週間 泌尿器科  
腎臓がん 8週間 泌尿器科  
膀胱がん 適宜案内 泌尿器科 待ち時間は受診の際、担当医にお尋ね下さい
胃がん 適宜案内 消化器外科 待ち時間は受診の際、担当医にお尋ね下さい
直腸がん 適宜案内 消化器外科 待ち時間は受診の際、担当医にお尋ね下さい
子宮体がん 10週間 産婦人科  
子宮筋腫 10週間 産婦人科  
子宮脱 10週間 産婦人科  

当院では2021年11月に手術支援ロボット「ダビンチサージカルシステム」を導入しました。

ダビンチを用いた手術は、従来の内視鏡手術と同じように、体にいくつかの小さな穴を開けて行います。執刀医は3Dモニターで10倍に拡大した術野を見ながら、手元のコントローラーでアームに装着した鉗子を操作します。手首以上の可動域を持つ鉗子とコンピュータ技術による手ブレ補正機能によって、正確で安全性の高い手術が期待できます。手術は必ず執刀医により行われ、ロボットが勝手に動くことはありません。

当院で行っているロボット手術について紹介します。

前立腺悪性腫瘍手術

前立腺がんはPSA検診普及に伴い、急増したがんの一つです。多くは限局がんとして発見され、高齢者に多く、進行は緩慢とされますが、中には早いものもあり、治療選択に悩むがんでもあります。限局がんは手術、放射線照射、監視療法などが選択肢となり、特に手術に関してはロボット手術がまず欧米で急速に普及し、本邦でも2012年の保険収載後に急激に増加、従来行われていた開腹による前立腺がん手術はほとんど行われなくなりました。

手術の対象となる患者さん

「転移のない前立腺限局がん」

手術が可能な健康状態であれば対象ですが、多くの前立腺がんは進行が緩慢であるため、PSA値やがんの悪性度(グリソンスコアともいいます)、前立腺局所のがんの広がりなどを参考に、期待余命10年程度までの患者さんが対象になります。

一般には75歳くらいまでの患者さんは手術のメリットがあるとされています。ただし放射線照射、監視療法など他の選択肢があるため、患者さんとよく相談し、納得して手術を受けてもらうことが重要です。

ロボット手術のメリットとデメリットについて

メリットは手術創が小さいことです。また術中出血量も低下しました。これらは腹腔鏡下手術でも実現可能ですが、ロボットを使わない腹腔鏡下手術は習得に時間がかかるものでした。ロボット手術は感覚的に操作が可能な多関節鉗子を備えたロボット(内視鏡手術支援機器ともいいます)を用いることで、この腹腔鏡下手術習得を容易にしました。また患者さん側からは、ロボットという最先端手術イメージのためか、手術を決断する敷居が開腹手術に比べて下がるようです。

デメリットはイメージが先行し、がん手術で重要な、「根治性」「機能温存」について、開腹手術より明らかに優位とは言えないことです。もちろん開腹手術に劣ることはありませんが、これらは今後の課題と言えるでしょう。

胃がんに対するロボット支援下胃切除術

胃がん手術の重篤な合併症として、膵液廔(すいえきろう:腹腔内に膵液がもれ、強い炎症を起こすこと)があります。胃がん手術でリンパ節を切除する際に、従来の腹腔鏡手術では手術操作で膵臓に負担が加わり膵液廔が発生することがありました。ロボット支援下胃切除術では、鉗子に多関節機能があることで、膵臓に負担をかけることなくリンパ節を切除することが可能となり、膵液廔を中心とした重篤な術後合併症の発生頻度が減るといわれています。また、最近増加傾向にある食道胃接合部がんや噴門近傍のがんに対する胃全摘術、噴門側胃切除術では腹腔内の深部で切除・吻合(ふんごう:消化管同士をつなぎ合わせること)が行われます。ロボット支援下胃切除術では、鉗子の多関節機能によって、これらの手術における食道空腸吻合がより安全に行えることが期待されています。そのほかにも、従来の腹腔鏡手術と比較して出血量が少なく手術時間は若干延長すると報告されています。入院期間は従来の腹腔鏡下手術と同様で、術後7日間程度です。

ロボット支援下胃切除術は2018年に保険収載されており、従来の腹腔鏡下胃切除術と同等の費用負担となります。

治療の対象となる疾患

幽門側胃切除術・胃全摘術・噴門側胃切除術の適応となる胃がん、食道胃接合部がん

直腸疾患に対するロボット支援下直腸切除術

直腸は骨盤内に存在し、骨に囲まれた狭い空間にあるため、鉗子などの操作範囲が限られており、これまでの腹腔鏡手術では、鉗子による展開に苦渋することも多くありました。ロボット支援下手術においては、多関節機能があるため、そういった限局空間での手術もより容易に行えるようになります。また、ロボット支援下手術では、その多関節機能に加え、3Dカメラで立体的に体内の画像を得られ、拡大してみることもできるため、細かい血管や神経を認識しやすく、これまでの腹腔鏡手術以上に繊細な手術が可能となります。そのため、肛門、排尿・性機能などの機能温存や根治性の向上が期待できます。

ロボット支援下直腸切除術は2018年に保険収載されており、従来の腹腔鏡下直腸切除術と同等の費用負担となります。

治療の対象となる疾患

直腸癌

※神経内分泌腫瘍、GISTなどにより直腸の切除が必要な場合も適応になります。

消化器外科におけるロボット支援下手術

ロボット支援下手術の導入により選択肢が増えましたが、患者さんによって適切な治療方法は異なります。外来で丁寧に説明し、患者さんの納得のいく治療を受けて頂けるようこれからも努めて参ります。

手術が可能かどうか分からない場合も含めて、気軽に当院へ御相談いただければ幸いです。現在、消化器外科では、胃がんおよび直腸がんに対するロボット支援下手術を実施しています。

当院は茨城県でトップクラスの胃がんに対する手術症例を有し、腹腔鏡下胃切除術を15年以上前より行ってきた経験と実績があります。さらに多くの患者さんを安全・確実に治療するために、このたびロボット支援下胃切除術を導入することに致しました。

大腸癌の手術においては、年間150-200例/年ほど行っており、そのうち直腸癌の手術は50-70例/年ほどであります。これまで、多数の腹腔鏡手術を施行してきておりますが、今後は直腸の手術に関しては、積極的にロボット支援下手術を行っていく予定です。

当院ではロボット支援下手術について、以下の基準を満たす医師が手術を行うこととしています。また、当院は東京医科歯科大学消化管外科・肝胆膵外科の関連施設です。定期的に大学病院から手術指導・技術支援を受けることで、ロボット支援下手術においても高い診療レベルを維持しております。

手術を行う医師の基準

インテュイティブサージカル社による所定のトレーニングコースを受講し、認定を受けていること

婦人科疾患に対するロボット支援下手術

保険診療で行える婦人科疾患のロボット支援下手術は子宮脱、子宮体がん、子宮筋腫等の良性腫瘍の三つがあり、当院ではこれらすべてについて保険診療の施設認定を受けています。
子宮脱:短冊状の網目のメッシュを用いて膣を仙骨に吊り上げる手術を行います。他の子宮脱手術に比べ吊り上げ効果が高く、再発率も少ない手術です。
子宮体がん:初期の子宮体がんに限って保険収載されています。子宮と両側の卵巣卵管を摘出します。子宮に接してある膀胱、尿管、直腸を丁寧に剥離できるのでがんのある子宮をかじらずにきれいに切除できます。
子宮筋腫等の良性腫瘍:筋腫の他に子宮腺筋症、子宮内膜増殖症、子宮頸部上皮内腫瘍なども対象になります。子宮の周辺には血管が豊富にまとわりついていますが、拡大視機能と細かい操作で少ない出血量で手術が行えます。

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