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医療トピックス

楽しくスポーツを行うための豆知識

2008年10月01日 (水)

Tips to Enjoy Sports

日本整形外科専門医・スポーツドクター 渡邊 敏文

Toshifumi Watanabe, M.D.

Authorized Sports Meidcine Orthopedist

by The Japanese Orthopedic Association

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スポーツの秋です。大リーグではイチローがシーズン最多安打を達成しました。シスラーの257安打の不滅といわれた大記録を、84年ぶりに塗り替える世界的な快挙です。また、今年はアテネオリンピックが開催され、日本は17個の金メダル(世界第10位)を含む計52個のメダル(世界第11位)を獲得しました。オリンピックの中継を見ていると、現場の緊張感や興奮が伝わってきて、自分も体を動かしたり、何かスポーツを始めてみたくなった方も多いと思います。スポーツは健康増進やストレス解消にもたいへん効果があります。しかし、スポーツによってケガや故障が起こる可能性もあります。そこで、今回は楽しくスポーツを行うために、外傷の応急処置などについてお話させていただきます。

スポーツ外傷とスポーツ障害

「スポーツ外傷」とはスポーツ活動中、身体に一回の大きな力が加わることによって起こる「ケガ」です。骨折、捻挫、脱臼、肉離れなどがあります。これに対して、繰り返すスポーツ動作で身体の特定部位が酷使されることによって起こる「故障」を「スポーツ障害」といいます。ジャンパー膝、オスグッド病、野球肘、シンスプリントなどがあります。スポーツ外傷やスポーツ障害は主に整形外科で診察・治療します。

応急処置

スポーツ現場でケガが起こった時に、病院や診療所にかかるまでの間、損傷部位の障害を最小限にとどめるために行う方法を「応急処置」といいます。この応急処置を適切に行えば、早期にスポーツ復帰を果たすことができます。しかし、応急処置をしなかったり、不適切な処置を行うと復帰までに時間がかかります。ただし、意識消失やショックを伴う大きなケガでは、すぐに救急車やドクターを呼び、むやみに動かさないようにしましょう。

RICE処置

応急処置の基本は「RICE処置」です。RICEとは、Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の4つの処置の頭文字を並べたものです。RICE処置は、捻挫や肉離れなどの四肢のケガで行います。

  1. Rest (安静)
    損傷部位の腫脹(はれ)や血管・神経の損傷を防ぐことが目的です。シーネやテーピングで損傷部位を固定します。
  2. Ice (冷却)
    二次性の低酸素障害による細胞壊死と腫脹を抑えることが目的です。ビニール袋やアイスバッグに氷を入れて、患部を冷却します。アイスノンなどを使ってもいいでしょう。弾性包帯やタオルの上から冷却し、直接氷をあてないようにします。約20分冷やしたら(患部の感覚がなくなったら)はずし、約2時間したら(また痛みが出たら)冷やします。これを繰り返します(1~3日)。
  3. Compression(圧迫)
    患部の内出血や腫脹を防ぐことが目的です。スポンジやテーピングパッドを腫脹が予想される部位にあて、テーピングや弾性包帯で軽く圧迫ぎみに固定します。
  4. Elevation (挙上)
    腫脹の防止と軽減を図ることが目的です。損傷部位を心臓より高く挙げるようにします。
    足関節のケガの時に、座った状態で氷水を入れたバケツに足を入れて冷やしているのを時々見かけますが、これは間違った方法です。このやり方ではIce(冷却)はできていますが、Rest(安静)やCompression(圧迫)、Elevation(挙上)はできておらず、患部を下垂しているために腫脹がひどくなってしまいます。

予防

スポーツ外傷やスポーツ障害を予防するためにはどうしたらよいでしょうか? まず、グラウンドやコートなどの環境条件を整えましょう。雨の日のぬかるんだグラウンドや床が濡れた体育館などは危険です。次に、シューズなどの用具に不具合がないかチェックして下さい。そして、運動を始める前には軽いジョギングで身体を温め、十分なストレッチで柔軟性を高めましょう。運動後には軽いストレッチで身体をほぐしてリラックスして下さい。肩や膝のスポーツ障害のある方は運動後のアイシングが有効です。また、中学生や高校生では、身体の成長が著しいため筋力や骨格がアンバランスになりやすい上に、過度の練習をしてしまいがちです。オーバーワークにならないように、指導者や親御さんなど周囲の方が気をつけてあげる事も大切です。

スポーツ専門外来

当院では毎週水曜日午後にスポーツ専門外来を開いています。スポーツ外傷やスポーツ障害でお困りの方を対象に、早期のスポーツ復帰を目指して診療に当たっています。安静や運動療法などで手術をせずに治療することがほとんどですが、必要があれば関節鏡などを用いた小侵襲手術により、早期復帰のお手伝いをしています。救急外来や整形外科外来を受診なさった方でも、スポーツ専門医の診察をご希望の方はスポーツ外来を受診なさって下さい。特に救急外来では救急処置が中心になりますので、後日、整形外科外来やスポーツ外来を受診なさることをお勧めします。

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