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腹腔鏡下胃全摘出術

胃癌に対する鏡視下手術・特に上部胃癌に対する腹腔鏡下胃全摘術に関して

近年、早期胃癌に対する内視鏡下切開剥離術(ESD)や腹腔鏡下胃切除術の関心が高まっております。2014年度胃癌治療ガイドラインにおいても、腹腔鏡下手術が一般診療として認められたことから、ますます全国的な治療数の増加が予想されます。しかしながら技術的難易度が高い腹腔鏡下胃癌手術の普及の為には、安全性への十分な配慮が必要です。当院では技術認定医を中心としたチームで全例の腹腔鏡下胃癌手術を行い、また術前検査において330列最新マルチスライスCT装置を用いた3D-CT画像を作成し、Navigation surgeryを行うことで安全に心がけております。そしてハイビジョン内視鏡システム(オリンパス VISERA ELITE)や新型エネルギーディバイス(オリンパス THUNDERBEAT)を導入し、より精密な手術を提供しております。腹腔鏡手術の適応は早期癌が主体となりますが、これまで当院で施行した700例を超える腹腔鏡下胃がん手術のdataから、短期成績および中長期成績に問題がないことを確認し、近年では進行癌へも適応を拡大しております。そして当院の特徴としては、さらに難易度の高い腹腔鏡下胃全摘術を標準術式としていることです。

腹腔鏡下胃全摘術はリンパ節郭清の難しさ、そして再建術の難易度の高さからまだまだ普及には至っておりません。当院では、2004年より腹腔鏡下胃全摘術を開始し(筆者は前任地にて2001年より執刀開始)、これまで250例を超える手術を行っております。 最大の難関である食道空腸吻合に対しては2005年にEndo―PSI 鉗子、2007年にEndo-PSI-II鉗子、2011年にEndo-PSI(Slim)鉗子といった手術器具を開発し、それらを使用した完全鏡視下再建法を全国に報告してまいりました。これまでの治療成績は縫合不全1.6%、吻合部狭窄1.2%と開腹手術に遜色の無い成績を収めております。近年では、さらに難易度の高い食道胃接合部癌への腹腔鏡下手術も取り組んでおります。 しかしながら我々胃外科チームのモットーは「For the Benefit of the Patient 」です。最新術式を含めすべての治療が患者さんのために行われること、一見当たり前のことではありますが、外科医としての興味が時に大事な治療の目的を踏み外しかける事例を耳にします。地域医療の一端を担う外科医として、お一人お一人の治療を丁寧に行うこと、そして十分な治療説明を行い透明性の高い治療を提供することをお約束いたします。 胃癌の治療や腹腔鏡手術全般に関しては、診療科別の治療案内もご覧ください。

腹腔鏡下胃全摘術の手術風景 CT画像から作成される3D血管画像
手術室ではモニターに映し出される
内視鏡写真やCT画像、3D画像を見ながら
Navigation Surgeyが行われます。
2005年開発のEndo-PSI
2007年開発のEndo-PSI-II 難関とされる腹腔鏡下食道胃空腸吻合のシェーマ
退院時の傷(2-3か月で、これらの傷はほぼ消失します)。

腹腔鏡下胃全摘に関連した論文報告

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