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腹腔鏡下・ロボット支援下胃切除術

  • 1. 腹腔鏡下胃切除

 

  • 1. 腹腔鏡下胃切除とは

  • 腹腔鏡(ふくくうきょう)手術とは腹部に5カ所程度の穴(5~10mm)を開けて、腹腔内に挿入したカメラの画像をテレビモニターで見ながら行う手術です。開腹手術と比較して傷が小さいため術後の疼痛が少なく、肺炎などの合併症が起こりにくくなります。また、ハイビジョンスコープで患部を拡大観察しながらリンパ節郭清を行います(拡大視効果)。従来の開腹手術では見えにくかった細かい血管などが観察可能で、出血量の少ないより精緻な手術が可能です。

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2. 当科における当科における腹腔鏡下胃切除

当科では2002年に腹腔鏡下胃切除を開始し、日本内視鏡外科学会の技術認定医を中心としたチームで安全に手術を行ってきました。腹腔鏡下胃切除の適応は胃がんの全術式(幽門側胃切除・噴門側胃切除・幽門保存胃切除・胃全摘)で、対象となる腫瘍の進行度は早期胃がんおよび進行胃がん(一部を除く)です。開腹手術の既往があり腹腔内に高度の癒着が予想される患者さんや高度進行がん、スキルス胃がんの患者さんでは従来の開腹手術の方が適している場合もあります。

GISTなどの胃粘膜下腫瘍では腹腔鏡下胃部分切除を基本としますが、腫瘍が胃の入り口(噴門)や出口(幽門)に近く胃切除範囲を少なくしたい場合などは消化器内科と合同でLECS(腹腔鏡内視鏡合同胃局所切除術)を行っています。LECSは内視鏡で胃の内腔から腫瘍を切除し、腹腔側から胃壁の欠損部を縫合する手術です。

 

2. ロボット支援下胃切除

 

1. ロボット手術とは

当院では2021年12月に手術支援ロボット「ダビンチサージカルシステム」を導入しました。手術支援ロボットを使ったロボット手術は、次世代の腹腔鏡手術です。

腹腔鏡手術は、医師が直接患者さんの腹腔内にポートとよばれる細い筒を通してカメラや鉗子とよばれる手術器具を挿入し、モニターに映し出される映像をみながら手術操作を行います。そのため、手術器具の手ブレや操作の精度が問題になることがあります。

ロボット手術では、このカメラや鉗子をロボットの腕(ロボットアーム)に固定し、操作機に座った医師がこのロボットを操操作して手術を行います。コンピューター制御されたロボットアームを操作することで、手ブレのない精緻な手術操作ができるため、ロボット手術は、従来の腹腔鏡手術とほぼ同じ傷で、より精度の高い手術が可能と考えられています。

ロボット手術の長所

・3Dハイビジョン画像を見ながら、医師がロボット操作をすること

・鉗子の先端に多関節機能および手ブレ防止機能がついており、人間の手以上の自由度を持った繊細な動きで手術が可能なこと

ロボット手術の短所

・人間が直接手術器具(鉗子)を操作しないので、触覚がないこと

・従来の腹腔鏡手術より手術時間が長くなること

※これらの短所は、医師のトレーニングによって補える部分も多く、また技術の進歩で改善されることが期待されます。

 

2. ロボット支援下胃切除術について

胃がん手術の重篤な合併症として、膵液廔(すいえきろう)(腹腔内に膵液がもれ、強い炎症を起こすこと)があります。胃がん手術でリンパ節を切除する際に、従来の腹腔鏡手術では手術操作で膵臓に負担が加わり膵液廔(すいえきろう)が発生することがありました。ロボット支援下胃切除術では、鉗子に多関節機能があることで、膵臓に負担をかけることなくリンパ節を切除することが可能となり、膵液廔(すいえきろう)を中心とした重篤な術後合併症の発生頻度が減るといわれています。入院期間は従来の腹腔鏡下手術と同様で、術後7日間程度です。

 

ロボット支援下胃切除術は2018年に保険収載されており、従来の腹腔鏡下胃切除術と同等の費用負担となります。

 

3. 当院におけるロボット支援下胃切除術について

当院は茨城県でトップクラスの胃がんに対する手術症例を有し、腹腔鏡下胃切除術を15年以上前より行ってきた経験と実績があります。さらに多くの患者さんを安全・確実に治療するために、2022年1月よりロボット支援下胃切除術を導入しました。

これまで35人の患者さんがロボット支援下胃切除(胃全摘:14例、噴門側胃切除:5例、幽門側胃切除:16例)を受けられ、術後合併症は膵液廔:2.8%、縫合不全:5.7%と良好な成績です(2023年10月現在)。

 

治療の対象となる疾患:幽門側胃切除術・胃全摘術・噴門側胃切除術の適応となる胃がん、食道胃接合部がん

進行度:早期がん、進行がん(一部を除く)

 

4. 地域の皆様およびご紹介いただく先生方へ

ロボット支援下胃切除術の導入により選択肢が増えましたが、患者さんによって適切な治療方法は異なります。外来で丁寧に説明し、患者さんの納得のいく治療を受けて頂けるようこれからも努めて参ります。手術が可能かどうか分からない場合も含めて、気軽に当院へ御相談いただければ幸いです。

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