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消化管出血に対する止血

「消化管出血」と一口に言っても、出血の場所と量によって、病気の種類や緊急度は様々です。赤い血を吐く、あるいは大量の赤い血や「江戸むらさき」のようなベタッとした便(タール便)が肛門から出れば、ほぼ消化管出血と断定できます。一方で「ふらふらする」「短い時間、気を失った」といった、一見関係なさそうな症状で始まることもあります。

一般的に、赤い便が出る大腸からの出血よりも、吐血や、タール便が出る場合の方が多くは重症です。この場合、出血の原因は食道・胃・十二指腸など、大抵は上部消化管内視鏡(胃カメラ)で見えます。肝臓が悪い、肝硬変の人に起こる食道静脈瘤からの出血を別とすれば、こうした患者様の80%以上は胃潰瘍・十二指腸潰瘍からの出血です。

以前は、癌ではない良性潰瘍からの出血でも手術しか根本的な治療がなく、しばしば命にかかわる病気でした。夏目漱石の命を奪ったのも胃潰瘍と言われています。しかし、現在では内視鏡だけで約95%までが止血できます。当院は緊急内視鏡の件数が全国的に見ても多く、年間120人程度の緊急止血を行なっており、原則として24時間・365日体制で対応しています。

内視鏡で出血を止める方法はいくつかありますが、どの方法でも成功率は同じ程度とされています。当院ではステンレス製の「クリップ」で、出血している場所を機械的に締め付ける方法を中心にしており(図)、世界に先駆けて海外の学会誌等でも報告しています(Nagayama, et al. Am J Gastroenterol(1999)など)。現在、約96%の止血率であり、ごく一部でレーザーを併用しています。しかし、重症の患者様の場合には内視鏡に頼りすぎず、放射線科・外科と柔軟かつ緊密に連携して治療にあたっています。

上に書いたような症状が出た場合、我慢せずに早めに受診いただくのが大事です。

(図1 クリップによる止血法)

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