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食道癌

食道がんについて

「食道」は、おおよそ「のどぼとけ」から「みぞおち」までの長さがあり、口から入った飲み物や食べ物を胃まで送る、まさに「食べ物の通り道」です。胃、小腸、大腸と異なり食道特有の機能はありませんがこの部位に腫瘍ができると様々な問題が発生します。
まず始めに、食道がんに罹りやすい人にはどのような特徴があるのでしょうか。圧倒的に高いリスクと言われているのは「タバコ」と「お酒」です。特に、「お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる」、もしくは「以前は弱かったのにだんだんと強くなった」という人は要注意です。やや専門的な内容になりますが、このような人たちは摂取したアルコールが体内で代謝・分解される過程において産生されるアセトアルデヒドという発がん物質の体内蓄積が長時間に及ぶ傾向があり、習慣的な飲酒は食道がんのみならず咽頭がんのリスクも高くなります。

食道にがんが発生すると時間の経過とともに腫瘍が食道の内腔へせり出してくるため「食べ物のつかえ感」が自覚されるようになります。一般的に自覚症状を伴う食道がんは進行がんであり、当院では患者さんの約7割を占めています。食道の狭窄は食事の摂取量に直結するため胃がん、大腸がんと比較すると体重が減少しやすいのが特徴です。また、リンパ節への転移が起きやすいがんでもあり、転移リンパ節が声帯を動かす神経(反回神経(はんかいしんけい))へ浸潤(しんじゅん)すると声帯の動きが麻痺するために声がかすれる(嗄声(させい)といいます)という特徴的な症状を伴う場合があります。一方、無症状で発見された患者さんのほとんどは人間 ドックなどの内視鏡検査(胃カメラ)で診断され、その多くは早期の食道がんです。完治の可能性が極めて高いので上記の様なリスクがあるひとは是非とも内視鏡検査を受けることをお勧めします。

  比較的早期に診断された食堂がん 進行した状態で診断された食道がん

主な診断・治療手技、手術等

当院での食道がん治療には外科医師のみではなく消化器内科、呼吸器外科、放射線科、麻酔科、救急集中治療科、リハビリテーション科、病理診断科、歯科口腔外科などの医師・歯科医師や、外来・各病棟の看護師、薬剤師、放射線技師、理学療法士、言語聴覚士、栄養士、臨床工学士など多くのスタッフが関わることで、患者さんにかかる負担を少しでも和らげ、その治療成績をより良くしようと日々努力しています。

治療に際しては、進行度・病期(ステージ)を診断したうえで年齢、既往歴、生活環境など患者さんひとりひとりの背景因子を充分に考慮することを前提に、根治切除可能と判断した場合は手術治療を行いますが、希望に応じて化学放射線療法を行う事もあります。また、進行度に応じた集学的治療(手術、放射線療法、化学療法を組み合わせること)を積極的に行っています。近年、食道がん治療と平行して歯科治療を行う事の重要性が広く認識され、当院でも2014年4月の口腔外科開設を契機に「周術期口腔機能管理」を積極的に運用しています。

なお、当院は日本食道学会が定めた食道外科専門医認定施設(http://www.esophagus.jp/pdf_files/link/certified_facilities.pdf)です。

内視鏡的粘膜切除

消化管(食べ物の通り道)のがんは進行度に応じた治療を行うのが一般的です。早期診断された場合は根治性を損なわないという条件下で、患者さんに対する負担が少ない治療が選択され得るという特徴があり、内視鏡的粘膜切除も当科で行っています。切除標本の病理診断結果によっては、追加治療の必要性を考慮する場合があります。

左上:病変周囲のマーキング 右上:吸引による切除
左下:切除による粘膜欠損部 右下:切除検体

手術

右開胸開腹食道亜全摘、胃管再建術を標準術式としています。広く一般化され、確立した術式です。根治性が最も高い治療ですが、侵襲度(患者さんに対する身体的負担)と後遺症(体重減少など)の問題があります。前者に対しては(化学)放射線療法を提案する場合もあります。後者に対しては、栄養瘻(栄養剤点滴用の細いチューブ)を手術時に造設する事により、軽減につとめています。

  右上縦隔郭清 左頸部郭清

集学的治療

手術、放射線療法、化学療法を組み合わせて治療する事を「集学的治療」といいます。ステージⅡまたはⅢの胸部食道がんに対する標準治療(最も治る可能性が高いとされる治療)は化学療法後に手術を行う治療戦略であり、当科ではこれを積極的に行っています(術前化学療法)。また、初診時には手術治療が困難と考えられる進行度である患者さんについても、化学療法を行うことにより根治切除可能となる場合もあります(導入化学療法)。放射線療法後の病変遺残・再燃に対する手術も行っています(サルベージ手術)。

化学療法によって消失した腹部リンパ節転移巣

治療成績

2010年2月より2014年9月まで当科では105人の患者さんに食道がん治療を行いました。現時点(2014年9月)での生存率は以下の通りです(他病死含む)。

化学療法によって消失した腹部リンパ節転移巣
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